2)国際資本移動に対する監視

国際資本移動については、自由な酷使資本移動がよいのか、あるいは
規制したほうがよいのかについて様々な意見があります。
国際資本移動を自由にしている国はその経済効果を得ることが出来る反面
対外債務における短期債務の比率や外貨建て債務の比率、また資本流入の急増や
流入した資本の突然の流出に対しては特別な注意を払って
リスク管理を図ることが必要です。


3)維持可能な為替相場制度
国際金融システムのアーキテクチャーを考えるときに重要な構成要素となるのが
各国が採用する為替相場制です。通貨危機に耐えられる維持可能な為替相場制が選択
されることが必要ですが、それが何かについては議論が残ります。
1つの考えとして為替相場制の両極の解という通貨危機に耐えられる為替相場制度は、自由変動為替相場制度か
厳格な為替相場制度(ハード・ペッグ)のいずれかしかないという考えがあります。
一方、為替相場ボラティリティ(短期的な変動)やミスアライメント(ファンダメンタリズムからの中期的な乖離)
あるいは金融政策の自由度を考慮してこれ羅の中間的な為替相場が好ましいという考えもあります。



4)IMF改革と地域金融協力
通貨危機の予防と解決においては、IMFが重要な役割を果たします。
近年一連の通貨危機の反省を踏まえてIMFは補完的準備融資制度(SRF)や
緊急融資枠(CCL)を創設しました。
さらにIMFのみによる通貨危機対策に対してチェンマイ・イニシアティブによる
ASEAN+3(日本、中国、韓国との意見交換)の通貨スワップ協定という形で結実
しつつあります。この動きの中でアジア通貨基金構想について再検討することも
必要になってくるかもしれません。


通貨スワップ協定ー 互いの外貨準備を活用して外貨を融通する取り決めで、外貨不足 が生じた国に対し、余裕のある国が短期の外貨資金を貸し出す仕組み。

5)民間部門の関与
危機に陥った国の債務者や政府はIMFからの金融支援を受ける際に厳しいコンディショナリティを受ける上に
国内経済が停滞するという厳しい状況になるのでモラルハザードを起こすことはないと考えられますが、
それに対して先進諸国の投資家、金融機関の側にはIMFからの金融支援によってモラルハザードを起こす恐れ
があります。そこでその予防と解決のために民間部門を関与させることが考えられています。

その一つとしてIMFなどの公的金融支援を1部に限定して民間債権者に残りの金融支援を負担させるというもの
があります。債務削減についても民間債権者が合意しなければIMFが金融支援を行わないというのもあります。
また短期対外債務の借換えが困難となる流動性危機に陥る国もあるので、流動性危機解消の為に民間債権者に
資金回収に走らせず借換えに応ずるよう促すこともあります。


しかしこのような関与が強制的に行われるようであれば民間部門は将来の負担の可能性を憂慮して
新興市場国や発展途上国への投資を抑制してしまう可能性がります。
コレを防ぐためには民間部門の関与にはリスクプレミアムが上乗せされるように市場金利が適用される
などして民間部門に自発的に関与していくようにしなければいけません